
日本を代表する黒御影石。墓石の本クンナムと同等の品質と言われる、黒褐色の斑レイ岩です。黒御影石の黒地の中に、金粉を散りばめたかのような美しさを持っています。日にあたるとキラキラときれいに輝きます。建立から40年経ったものも、ほとんど劣化しないと言われています。福島県の中央部近い、田村郡小野町と郡山市、船引町にまたがっている「黒石山」から採掘されています。昭和初期の頃から、建築材や墓石として使用されていますが、現在は、「浮金石」の採石は難しいと言われています。石の産地といわれる福島県では、同県産の石材の種類がたくさんありますが、「浮金石」はその希少性から、福島産の墓用石材の中でも、最も高い値段が付いています。1989年時点で採石量は2,400トンでしたが、本クンナムと同様に、今はほとんど採れません。採石されているものは、大部分が黒石山のものですが、花崗岩類の中の包有岩体であるため、地下の深部に向かって採石を拡大することは期待できないと言われています。
建築材にもなっており、床や壁などにも使用されます。ダイヤモンドの切れもよく、加工しやすい石材です。名前のとおり、黒地の中に金・白色の斑が混じっているのですが、それが浮き出るかのように、絹糸状に光を放つのが、浮金石の最大の特徴です。絹糸光沢を呈して、美麗です。張石にも使用されます。金粉にみえるのは、無数の金属物質粒子です。大半は磁鉄鉱で、全体の10%〜20%を占めています。他に、黄鉄鋼などもあります。金色の模様が「浮いているようにみえる」ことから、「浮金石」という名前がつけられたと言われています。
高級墓石のブランドであり、そのため、粗悪な石材に「浮金」の名を使用でしまうことがよくあります。必ず「産地」を確認する必要があります。
「浮金石」は、欠点をあげるとすれば、キズやムラが多いことです。加工はしやすいのですが、手間がかかります。建立時にはキズやムラに注意が必要です。有名な建築物では上野駅、東京駅、沖縄戦没者慰霊碑、現天皇ご成婚記念の噴水などに使用されています。
石質は粗密の差が少なく、きめが細かく、堅牢な石質の御影石で、上品な光沢を放ちます。墓石としては、どのようなタイプのものにも使用できますが、石材そのものが美しいため、純和型のシンプルな墓の方が、石の美しさが映えます。