
万成石は「まんなりいし」と読み、「桃色御影」、「万成御影」ともよばれています。岡山市西部の谷万成に限られて産出します。ブランドとして名の通った、価値のある石材です。日本で「桜御影」といえば、真っ先にこの万成石の名が挙げられますが、他の産地のピンク色の入った石材を「桜みかげ」と呼んでいることもあり、確認が必要です(たとえば『石材の辞典』では、「桜御影」をひくと「磐城桜御影(いわきさくらみかげ)」の情報が掲載されていますし、国会議事堂の外装に使用された広島県の石は「議員石」と呼ばれていますが、近郊で採掘される淡紅色の石材を総称して「桜みかげ」とも呼ばれています。淡紅色の長石を含む石材を総称して桜御影と呼ぶようです。中国産の「桜御影」もあります)。
万成石の採掘は、天保年間からはじまったと言われており、本格的に採石されはじめたのは明治21年頃からと言われています。現在、採石場は2社・2丁場となっています。岡山のその場所でしか採掘できませんが、万成石の山は、玉石の積み重なった山であり、埋蔵量は、約100万ほどあり、むこう50年は安定供給できると言われています。中粒、紅色のカリ長石の大きな結晶粒を含んでおり、独特の淡紅色をしています。黒雲母はあまり目立ちません。耐久性の強い石材です。一見柔らかそうにみえるのですが、日本の石材の中ではトップクラスの硬度を誇っています。角閃石、黒雲母、花崗岩。緻密で硬質な石材です。中粒〜粗粒で、本御影に似ています。淡紅色(ピンク)はカリ長石、白は斜長石、灰色は石英、黒は雲母等で構成されています。完晶質、中粒の岩石です。著名人の墓にもよく使用されています。建築物にもよく使用されており、新宿の伊勢丹ビルや岡山県立美術館等が有名です。見かけ比重は2.61g/cm3。万成石の中で、とくに色合いの良いものは、「龍王石」と呼びます。国産の他の地域の石材は、石目によって価格がかわりますが、万成石は色の濃さで価格が決まります。購入を検討する際は、実物を見て検討することが必要です。また、経年により赤味が増すとも言われています。表土に近い、小さい玉石は、さび石が出ることもあり、昔採掘された万成石の中には、さびの出ているものもありますが、現代は重機が発達しているため、さび石がでることはまずありません。