
「YKD」は「インド黒」の代表的な石種。インドの黒御影の高級石材「クンナム」の代用として使われ、重宝されています。「インド黒」の普及品です。インドの黒御影石の中では色が薄く、目も粗いようですが、安定的な人気があります。価格も手頃で、石質も安定しています。礦山が露天掘りのため、開採しやすいのだと言われています。
「YKD」は、インド産の黒御影石を使用して比較的リーズナブルに墓石を仕上げたい場合、「MU」「BVR」とともに、比較的日本では古くから使われている石種です。インド産の黒御影石は種類がいくつかあり、素人には見分けがつきません。心配な場合は「産地証明」を取り寄せるとよいでしょう(「YKD」を検討するときに、よく「クンナム」が比較として出されますが、「本クンナム」以外に「偽クンナム」と呼ばれる類似品が比較対象とされることが多く、比較検討する際に混乱することがしばしばあります。産地証明には本当の石材の名前が書かれています)。
「YKD」の場合、黒雲母の量は少なく、全体に細目の乳白色が広がっています。岩石名は火成岩、花崗岩、黒系小目御影石。黒い部分は黒雲母、磁鉄鋼、角閃石、透明部分は石英、白い部分は斜長石、グレー部分はカリ長石です。原石が大きいので、大材も可能です。石塔として使用されることが多いですが、外柵や付属品など共石で作る場合も便利な石です(グレー系の石材などと組み合わせてデザイン墓を作る場合など)。墓誌によく使用される石材で、インド黒の中では粗目と言っても、世界中の石材全体と比較すれば相対的に細目の石で、細かい文字の彫刻も可能です。 黒御影としては、充分に映える、美しい石です。インドの最高級黒御影石「クンナム」と同様、「YKD」もタミルナドゥ州で採石されます(インドの良質な黒御影石は、ほとんどタミルナドゥ州で採れると言われています)。5〜10年で白っぽく変色してきますが、それは高級石材と比較した場合のことで、見た目にはほとんどわかりません。並べて比較するのでもないかぎり、遜色はありません。「YKD」はインドの黒御影石の中では比較的安価な方で、安売り店などで扱われています。黒御影石をふんだんに使用して建立したい場合など、量的にも、使いやすい石です。黒御影石の採掘量のランキングでは逆順で11位(年間の採掘量としては、クンナムよりも少ない)。年間採石量:1,000m3、見掛け比重:3,016t/m3。