
一般に「スウェーデン」「スウェーデン黒」と呼ばれているものは、このブラックファイングレインを指しています。「ファイングレー」とも呼びますが、「ファイン(fine)」の原義は「仕上げられた」→「美しい」→「申し分ない」、「グレイン(grain)」は「石目」を表しています(ファイングレイン…すばらしい石目)。また、よく岩石名の先頭に「fine-grained」をつけて「細粒」であることを示すように(ex.fine-grained rock )、このブラックファイングレインは、非常に目が細かいのも特徴です。
岩石名は火成岩、花崗岩、黒目系小目御影石。黒い部分は黒雲母、磁鉄鋼、角閃石です。墓石に使用される黒御影石の中では、もっとも評価が高く、最高級品と言われています。
吸水性・比重・硬度ともに、世界一と言われ、経年変化にも強い石材です。年月が経っても見た目が全く変わらず、その性質は1000年変わらない、とも言われています。硬質のため、石ノミを入れると、カッチンカッチンと金属音がします。あまりにも硬いため、艶が出にくいと言われていますが、研磨することによって一度出た艶は長持ちします。彫刻された文字やイラストも、長く映えるでしょう。緻密な、細かい放射状の石目が美しく、艶やかな黒の中に銀色に輝く雲母が魅力的で、磨き抜かれた表面は、まるで鏡のような輝きと艶を保っています。威厳と風格を感じさせる輝きは、艶やかで深みのある黒一色で、墓の前に立つ人の影を映すほどです。
石の値段は、需要と供給のバランスで決まってきますが、このブラックファイングレインは、需要に比べ生産量がやや不足しており、とくに大きいものは採れず(しかも、墓石に使用する部分は限られています)、希少価値の高い石材です(ブラックファイングレインは、黒御影石の採掘量ランキングにおいては、逆順で7位。つまり、世界で七番目に採掘量の少ない黒御影石なのです)。
黒御影石は加工が難しいとも言われており、スウェーデン産の黒御影石は3種類ありますが(ブラックファイングレイン・エボニーブラック・ボナコート)、ブラックファイングレインは、その中でも一番目が細い最高級品として、世界でも絶賛されています。ただし、赤目色の強いものは、劣化が早いので、注意が必要です。
新旧石材の入れ替わりが激しい中で、日本人に長く愛用されてきた、安定品質を誇る石材であるともいえます。見かけ比重 3.02t/m3、吸水率:0.006%。