
庵治石(あじいし)、と読みます。日本産御影石の最高峰で、庵治石の大丁場は、香川県高松市の北東部・庵治町の、瀬戸内海を臨む半島にあります。風化に強く、日本一高級な石と言われています。「花崗岩のダイヤモンド」とも呼ばれており、硬度は水晶と同じ7度です。六本木ヒルズや、成田山新勝寺の寺名の石碑、源平合戦800年祭供養碑、大阪城・後姫路城にも使用されました。基本的に黒雲母花崗岩で、角閃石や白雲母は含まれていません(黒い部分は黒雲母、白い部分は、斜長石、グレー部分はカリ長石です)。
庵治石は、灰白色の小間目または細目(どちらも「こまめ」と読みます)と、白色の中目の2つに大別されます。採石される場所によってことなり、「細目(こまめ)」と「中目(なかめ)」の中間の「庵治中細目(あじちゅうこまめ)」など、いくつかの細かい種類があります。色味によっても「黒口」「白口」などに分類され、庵治石の種類は40種類以上にも及ぶとされています。
中目の特徴としては、細目に比べて石目が大きく、白っぽいことと (細目になるほど黒っぽい)、かすかに斑(ふ)が浮いているように見えること(他の白御影石には無い特長ですが、細目であれば、中目より明確にその現象が確認できます)などです。白御影石として大別されますが、「庵治石中目」は、庵治石特有の上品な風合いがあり、他の白御影石とは明確に区別できるほど、美しさに違いがあります。
細目に比べて、中目は黒雲母の数が少なく白っぽくみえますが、硬度はほとんどかわりません。ノミが立ちにくく、職人泣かせの石と言われています。構成している物質の結晶が小さく、緻密に結合しているので、他の地域の花崗岩と比べても硬度は高いです。モースの硬度表によれば、水晶と同じ硬度で(7度)、細かい字を彫ることができ、彫刻した文字は200年は崩れたり、艶を失ったり、変色したりすることはないと言われています(他の石ですと、赤茶色に変色してしまうものがあります。庵治石の場合は、500年前の文字がまだ残っているという例もあります)。日本での墓石としての歴史も長い、銘石です。