
羽黒青糠目石(はぐろあおぬかめいし)は、桜川市(旧・岩瀬町)羽黒地区で採掘される、糠のようにきめのこまかい、青色の花崗岩のことです。福岡県産出の内垣石や、神奈川県産出の相州本小松石、などと並び、日本の三大最高級銘石と称されています。国産墓石の最高級品として誰もが認める銘石で、芸能人や著名人もよく使用しています。
関東地方のお寺などでは、「高貴光明の石」と呼ばれています。
他に類をみないきめの細かさと、青みがかった深みのある色合いが、糠目石独特の重厚さと気品を生み出しています。彫刻材としての評価も高く、墓石のほか、建築石材、彫刻、庭園装飾、オブジェ・モニュメント、美術工芸など、幅広く利用されています。石目が非常に細かい分、仏像彫刻などでは、他の石では作れない繊細な表情を作りだすことができます。最近の国産の仏像彫刻には、羽黒青糠目石が非常に高い割合で使用されています。採掘の歴史は大正時代にさかのぼります。
採掘量が極めて少ないということも、希少価値を高めている要因のひとつです。さらに、丁場の一角では、ごくごく稀に、さらに希少価値の高い「浮常陸石」「牡丹石」が採掘されることがあります。「浮常陸石」と「牡丹石」は、あまりのめずらしさに、幻とさえいわれています。通常の青糠目石の色目に、黒い牡丹のような模様が点在して浮かんで見えるのが、「牡丹石」、黒い牡丹の模様が、かすめるほどに同化して見えるものが「浮常陸石」で、遠くから眺めてみると、青みのかかった色合いの墓石の中に、牡丹がふわふわと浮いているように見えてきます。
この羽黒青糠目石が採掘される羽黒地区は、山脈の中間に位置し、北の方に行くと「稲田石」が、東の方に行くと「真壁石」が採掘されます。いずれも、国産の高級墓石ブランドです。
山脈の中間地の地表約30mほどのところに、ごく僅かだけ糠目石は産出される場所があります(それより深いところは、稲田石の地層になります)。こうした、国内屈指の石材産地には、古くから熟練の石工職人が集まり、技術が高め、そして継承してきました。原石の質の高さだけでなく、採掘や、加工の技術の面でも、品質高い、確かな石材製品が生み出されています。見掛比重:2.706t/m3、吸水率:0.23%。