
庵治石(あじいし)、と読みます。日本産御影石の最高峰で、庵治石の大丁場は、香川県高松市の北東部・庵治町の、瀬戸内海を臨む半島にあります。風化に強く、日本一高級な石と言われています。「花崗岩のダイヤモンド」とも呼ばれており、硬度は水晶と同じ7度です。六本木ヒルズや、成田山新勝寺の寺名の石碑、源平合戦800年祭供養碑、大阪城・後姫路城にも使用されました。細目から中目まであります。特にきめの細かいのが、「庵治石細目」です。庵治石自体が希少性の高い石材ですが、細目になるとさらに採掘が難しく、その分、市場では高価で取引されます。青味がかった石目に鱗のような微小なまだら模様が浮かびます。独特の斑点模様は、他の石には無い趣をかもし出しています。東西南北に走る無数のキズを避けて採掘されるため、墓石として製材できるのは、全採掘量の3〜5%程度です。また、岩株状の岩体などの下部になると細くなり、鉱量が枯渇しつつありますが、まだ採石はされています(希少価値のため、高値で取引されています)。耐火力があります。基本的に黒雲母花崗岩で、角閃石や白雲母は含まれていません(黒い部分は黒雲母、白い部分は、斜長石、グレー部分はカリ長石です)。青味を帯びた石目に、鱗状のかすかな紋様が浮かんでいます。磨けば磨くほどよい艶がでます。黒雲母と石英の不均一な分布により、「斑(ふ)が浮く」という、独特の現象があり、庵治石の最大の特長であるといわれています。庵治石の表面は、黒雲母が入り混じったまだら模様なので、まだ粗い原石は、磨くほどに濃淡が浮き出てきます。これによって、平坦のはずの石の表面が奥行きのある、二重のかすり模様を見せてくれるのです。この「斑が浮く」という現象は、地質学でもまだ解明されていません。その模様は、高い山々にかすみたなびく雲、あるいは、屋島から舞い落ちる桜の花びらにもたとえられており、庵治石はそれゆえ、縁起物としても珍重されてきました。この「斑が浮く」という現象は、中目では見えにくいのですが、小目のものであれば、最も鮮やかに確認できます。細目は、磨けば磨くほど、濡れたような艶をおびていきます。
同じ庵治石の中でもランクがあり、中目には特級、上級、細目には極上、特級、上級というランクが付けられています。目の細かさや、班(ふ)の浮き具合によって、ランクが分かれています。