
やさとみかげ(八郷みかげ)は、茨城県石岡市旧八郷町の加波山で採掘される白系御影石です。淡い青色を帯びた、優しい石目、桜の花びらを散りばめたような美しい模様が特徴です。白黒の石目のバランスがよく、点在する薄い灰色(石英)が、やさとみかげの独特の雰囲気を醸し出しています。
茨城県石岡市旧八郷町は、石器時代以来の石の産地で、付近の遺跡から発見された石刃、石棺、石斧にはやさとみかげが使用されていたことがわかっています。鎌倉初期〜室町・戦国期にかけては仏石、古碑、五輪塔に、江戸時代には城郭や神社仏閣のほか、墓石、工芸品に使用されるようになりました。
歴史がその耐久性を証明したとおり、風雨、雪にも耐え、劣化の少ない石材です。茨城県より産出される他の御影石(真壁石、稲田石、羽黒青糠目石、坂戸石御影石)と並んで、やさとみかげは日本の気温、湿度に適した日本の銘石と言われています。
歴史の古い石材ですが、現在も国内屈指の埋蔵量の多さを誇り、約100万m3あると言われています。年間採石量は30,000トンです。見掛け比重 2.659t/m3、吸水率 0.2%で水はけがよく、石質は適度に硬いため加工しやすい点が墓石に適しています。
比較的サビもでにくく光沢が長く保たれる性質を持つため、墓石だけでなく、モニュメント、記念碑、建築材等にも多く使用されています。外柵にもよく使用されています。
加波山の東側中腹から採掘される石材は真壁小目で、やさとみかげは山頂付近の丁場で採掘されます(採石場は、全長50メートル、高さ35メートル)。色彩に淡い青味を帯びている点が真壁石と似ているところですが、やさとみかげは真壁石に比べ、白黒の石目のバランスが良いと定評があります。国産材の中では比較的リーズナブルであることから人気があります。錆が出にくく、つや持ちがよく、海沿いの墓地でもサビが出ず、ツヤが保たれている事例があります。