
「山西黒」は「さんせいくろ」と読みます。中国・山西省で採掘される、黒系で小目の中国を代表する黒御影石です。岩石分類は斑レイ岩です。AタイプとBタイプがあり、墓石材には純黒のAタイプが使われています。漆黒の本格黒御影です。ほとんど斑紋がなく、本当に真黒な印象の石材です。本磨きで仕上げたものは、美しい光沢があります。国産の黒御影石は高価なものが多く、山西黒は高級感の割に安価なため、黒御影の墓を建立したい人に人気があります。また、その光沢の美しさから、建築材、内装インテリア材としても人気があります。
インド産や南アフリカ産の黒御影石に比べても、価格が安いため、人気があります。豊富な採掘量と、同価格の石材にはめずらしい吸水性の低さから、一時期は黒御影のスタンダードとさえいわれました。ランクがあり、同じ石種でも品質の差があります。あまりにも安いものには注意が必要です。新品のときは、非常に美しい黒御影石ですが、安価過ぎるものは、漆黒の美しさを長く保つことができず、すぐに白っぽくなって、サビも出てきます。経年により、砂をかぶったように茶色くなってしまうことが多いので、石塔ではなく、予算に合わせて「外柵」「墓誌」「法名盤」「貼石」などによく使用されています。大材も採れるため、巻石としての需要も多くあります。
硬度はインド材ほどではありませんが、硬度は高い方で、山西黒の石材を軽くノックすると、金属音のような音がします。その硬さと、鏡のような美しさから、オーディオボードにもよく使用されています。墓石としても、黒御影の他の石材と比べて圧倒的に安価なため日本でもよく利用されてきました。しかし、丁場により、石目・質の差が生じるようになり(石目が均等ではなく、ムラも多く、石質が不安定になってきました)、最近は、人気はすこし落ち着いてきたようです。黒雲母は細目で、微量の乳白物の混入が見られます。色はとても綺麗に整っているのですが、最近のものはとくに、変色の可能性が高くなってきています。
しかし、一見漆黒に見える石目にも、細かな、豊かな天然模様があり、鏡のような美しい光沢は魅力的で、本当に美しい石材です。