
坂戸石は、「大目」という、石目が大粒の白御影石です。岩石分類は花崗岩で、6,500万年前頃に形成された層です。茨城県桜川市西飯岡地区(旧岩瀬町坂戸、北関東自動車道桜川筑西インターチェンジ近く)で採掘され、東西10キロ、南北5キロの広範囲に分布しています。本格的な採石は明治時代からはじまり、その後石材を輸送するための貨物取扱駅が誕生するなど、明治の後半に最盛期を迎えました。
青味がかった灰色が上品で美しい色合いをかもしだしています。
加工次第でコントラストが出、硬質でキズの少ない石です。研磨により光沢もでます。見掛け比重:2.678t/m3、吸水率:0.181%、圧縮強度:117.49 N/mm2、年間採石量:15,000才。
茨城県の西部地区では、他にも良質な御影石が産出されています。他の石材との比較では、坂戸石は稲田石よりやや黒めです。低地から採掘されるため、大材の搬出が比較的容易です。そのため、外柵、モニュメント、間知石(石積みに使う四角錐の石材)などの他、石橋、鳥居、石蔵など、大型の建築材にも使用されています。様々な用途に対応できる石材といえます。
茨城県の御影石は、耐久性、美しさが優れている上、日本の風土に適しており、真壁石、稲田石、羽黒青糠目石、やさとみかげ、坂戸石は、それぞれに特性を生かしつつ、古く様々な用途で利用されてきました。
2010年に開港した茨城空港には、茨城の銘石を用いたモニュメントがあり、地元霞ヶ浦に浮かぶ帆掛け船がイメージされています。帆をかたどった5枚の石に、それぞれ稲田石・真壁小目石・やさとみかげ石・羽黒糠目石・坂戸石が使用されており、地元の銘石を触れて比べることができます。