
諫早石(いさはやいし)は、長崎県諫早市で採掘される砂岩です。砂岩の中ではめずらしく、建材としての使用にも耐えうる、希少な石材です。砂岩、と言うと、もろいイメージがありますが、諫早石は硬質砂岩で、長崎の出島などは、諫早石の擁壁で囲まれています。古くから建築用にも使用されてきた石材で、グレー系とベージュ系があります。建築資材としては、主に外装、内装(内装の床壁、浴室の床壁など)、外構材などに使用されています。
地質学的には、諫早の丘陵地帯―平地(現在の市街地含む)の大部分をしめる、約4千万年前にできた砂岩の層が地層の基盤となっているのですが、この砂岩の層を切りだしたのが諫早石です。
長崎市を観光などで訪れても、各所で諫早石の現物を見ることができます。一例としては、長崎市の南山手・東山手の洋館の建材・石畳、長崎の眼鏡橋(寛永11年完成の日本最古の眼鏡橋)、諫早の眼鏡橋、オランダ坂・グラバー園の石畳、広福寺の古い墓石などがあります。上品な諫早石の表面の質感を、触れて確かめることができます。
石畳の場合は、ランダムに貼っても仕上がりが美しく、デザイン墓石に諫早石を使用する場合の参考になります。また、眼鏡橋の他にも数多くの石造アーチ橋が残っており、諫早石の経年変化を確かめることができます。色幅は大きく変化しやすく、他の墓石用御影石等と比較すると色が薄い分、汚れやすい難点はありますが、やわらかな質感と、優しい風合いが人気の石材です。