
赤坂石(あかさかいし)は、広島県内有数の石材の産地・福山市赤坂町(旧深安郡加茂町百合)で採掘される、たいへん落ち着いた色合いの御影石(花崗岩)です。福山市赤坂町は、倉橋町と並ぶ、広島県内の石材産地の主要都市で、かなり古くから採石が行われてきたようですが、いつ頃からはじまったかは定かではありません。
赤坂石は、日本国内で産出される墓石用石材の中では、低価格で良質な石材のひとつです。
岡山県笠岡市北木島町(北木島)産の北木石(きたぎいし)とともに、京阪神地方で主に消費され、多くのビル等に使用されてきましたが、山陰、四国、東北にも出荷されています。福山駅の駅前にある、彫刻家・平櫛田中の像も、赤坂石で造られています。1970年代以降、安価な外国産の青御影石に押されて使用されることが少なくなってきています。主に白系の小目の石が採掘されますが、一部では淡紅色の中目の石材も産出されます。
その色合いは複雑で、薄茶がかったグレーの中に、薄いオレンジの部分が入るという、めずらしい色彩です。磨かずに仕上げることによって、色合いの変化を楽しむことができます。石目は均一で、ムラはあまりありません。白玉・黒玉のアザはほとんどなく、同系色の色を大量にそろえることができます。大材をとることも可能で、そのため、墓石用だけでなく、建築材の内装用・外装用の張石にも多く使用されています。他の国産の墓石用石材と比較して、硬度はそれほど高くなく、軟らかいのも特徴です。