
男鹿石(おがいし)は、男鹿半島の東部・秋田県男鹿市の寒風山(かんぷうざん)のふもとで産出する輝石安山岩です。山の名前から「寒風石」(かんぷせき)とも呼ばれています。寒風山は、約2万年前の火山活動によりできた溶岩からなる山で、その山から採れる男鹿石は熱に強く(耐熱温度は1000℃)、花崗岩より比較的軟らかいため加工しやすい特長があります。石材の色は、濃いグレー色、または淡い灰褐色(割肌)と形容される、黒っぽい色をしています。緻密で、研磨により艶が出ます。
江戸時代中期頃より採掘・加工されるようになり、家の土台や神仏の石造に使用されていました。明治時代以降には、墓石、間知石、建築土木用の資材としての利用も増えました。 水に濡れた姿が美しく、歳月を経ることにより苔や草花が生えて味わいが増します。古いもので現存する男鹿石の石碑としては、康永3(1344)年のものが南秋田郡琴浜村道村の永願寺の庭に、また、宝暦10年(1760年)の紀年の石碑が男鹿市脇本駅前栗島神社境内に現存しています。
様々な場所になじむため、庭石などにも使用されています。
現在では他に、記念碑・彫刻・城の石垣の復元・建築土木・道路路盤材・湾口築造工事の基礎石などによく使用されています。墓石よりも、割栗石・間知石への利用の方がかなり多いようです。また、耐熱性のよさから、暖炉や石焼きステーキの板への利用もあります。高価な小松石のかわりとして使用されることも増えてきています。新首相官邸(2002年4月竣工)の外壁にも、約2500平方メートルの男鹿石が使用されました。