
吉祥石は、愛知県岡崎市で採掘される優良な花崗岩のひとつで、「小呂青石」「宇寿石」「額田中目石」などと並ぶ、岡崎ブランドの石材です。一般的には「きっしょういし」と呼ばれていますが、石材業者の間では「きちじょういし」と呼ばれています。
1000年以上前から石の彫り物が売られていたと言われる岡崎の石材産業は、岡崎城の構築を期にさらに大きく発展しました。採掘される花崗岩の種類は他の産地よりも多く、それぞれの石目に特徴があります。
吉祥石は、他の石材との比較では、牛岩青石よりも若干石目が大きいのが特徴で、石目がはっきりしています。江戸時代より、岡崎の代表的ブランドとして全国的に長く愛されてきた、品質にも定評のある石です。
岡崎市の真伝町の吉祥(きちじょう)という地区で採石される優良な青御影石です。岡崎産の御影石の中でもとくに硬く、磨き落ちしにくい高級石材です。磨き上げると青味が深まり、素晴らしい色艶を出します。水を吸いにくく、長い年月の間も風化しにくく光沢が長持ちします。
採石量が減っているため、順番待ちの状態が続いています。
鬼祭りで有名な、岡崎市の滝山寺内・滝山東照宮には、徳川家の御紋が入った数十基の灯篭がありますが、吉祥石で造られています(滝山寺は7世紀頃、滝山東照宮は徳川家光によって建てられ、日光東照宮・久能山東照宮と並ぶ日本の三大東照宮のひとつとなっています)。他にも、京都東本願寺(真宗大谷派の本山)境内にある大手洗水鉢など、全国的にも由緒ある石製品の材料として使われています。