
宇寿石は「うすいし」と読み、「臼石」とあらわされることもあります。岡崎御影を構成する武節花崗岩(旧北設楽郡稲府町付近が模式地)の主要な岩相として広く分布しています。愛知県の岡崎市滝町、米河内町、豊田市旭町等、各地から多量に産出し、大材も採れます。何十年も前から墓石に使用されてきた石であり、かつては石材の産地として有名な岡崎における代表的な石材で、「出世石」とも呼ばれていました。岡崎市に隣接する愛知県の安城市の古い墓地では、宇寿石で建立された墓石をたくさん見ることができます。若干、変色が目立つ部分もあるようです。
他の岡崎御影石材の中目よりもやや粒度が粗く光沢もおとるためか、寺社や墓地の外柵や鳥居などに使われてきました。岩石学的には中粒の白雲母黒雲母花崗岩〜花崗閃力岩で、白雲母は含まれ、目立っています。美しく均質な石質です。常盤御影と同じです。石を切削し、研磨することにより、石肌の表面がより透明感のある透き通った感じに仕上がるので、その風合いから「御影石のダイヤモンド」とも呼ばれました。石には粘りがあり、飛矢による割れも良いのが特長です。古くから使われているので信頼があり、近年は墓石の他、鳥居、石灯籠、敷石、石柱、建築土木材、彫刻材に使用されてきましたが、2012年の時点で山の状態がよくないため、原石がよくなるまでの間、取り扱いが中止されているようです。見掛け比重:2.624t/m3、吸水率:0.243%、年間採石量:4,000才。