
阿武隈山系の「芝山」から採石されることから、「芝山石」の名前がついています。福島県南部のいわき市・古殿町・平田村の三市町村にまたがる芝山県立公園の一角で採石されています。岩石分類は花崗石です。近郊から産出される「紀山石(きざんせき)」や「天光石(てんこうせき)」と同系統で、外見は中国産の「G614」と酷似しています。しかし、芝山石の吸水率の低さは国産材の中でもトップクラスで、吸水率は「G614」の約3分の1程度です。
国産の石材の中では、最高級とされる庵治石よりも吸水率が低く、吸水率の低さベスト5にランク入りしています。(浮金石[福島県産]、備中青みかげ[岡山県産]、伊達冠石[宮城県]、天山石[佐賀県]に次ぐ吸水力の低さ)
石全体の結晶が上品で美しく、小目と中目の2種類があります。目が細かくうっすらと斑が浮かぶ〔特級〕と濃い青味の〔1級〕、目が粗く赤味がかった〔2級〕とに分類されます。きめの細かい、上品な石材です。研磨により艶がでます。経年変化はほとんどありません。見掛け比重:2.62t/m3吸水率:0.09%、年間採石量:8,000切(220m3)。採石の歴史はそれほど古くなく、採石しはじめた当初は、「三葉みかげ」という名前で出荷されていました。高硬度・低吸収率というその性質から、ほとんどが墓石用に使用されていますが、自然石を記念碑や庭石に利用することもあります。
国産の石材の中では艶もちのよい芝山石は、上品な石目が落ち着いた雰囲気をかもしだし、また研磨により艶がでますが、おだやかな輝きで、ゆったりと故人をしのぶのにも適した性質を持っています。