
白河石(しらかわいし)は、福島県白河市久田野付近に産出する、安山岩系石材です。正確には石英安山岩質溶結凝灰岩で、前期更新世130〜90万年前の白河火砕流中の芦野火砕流がベースとなっています。福島県南部の白河地方から栃木県北端部にかけて、白河火砕流が広く分布しているため、同質のものが別々の場所で採掘されます。産地によって、米村石(米村産)、久田野石(久田野産)、小田川石(小田川産)、信夫石(信夫産)、根田石(根田産)とも呼ばれてきました。栃木県那須町でも同質のものが産出し、芦野石と呼ばれています。
色彩は灰色、もしくは灰紫色です。含有物の構成比により白色と黒色の2種類があります。帯黒灰色の中に、ガラス質の部分が流状に配列しており、縞模様となっています。素朴であたたかみのある色調は落ち着きがあり、また適度な硬度で加工しやすいことから、墓石以外にも石塀、石垣、食料倉庫、住宅、門柱、公園、広場等の公共物にも使用されています。コンクリートとの相性がよく、モダンな建造物にもよく使用されてきました。また、昔から城の石垣や灯篭等に使われてきたため、日本の風土における耐久性が証明されています。
適度な吸水性があり、蔵にも適しています。滑りにくく、足裏の触感がよいので浴室の床にも使用されています。カウンターやフローリングの木とも調和し、玄関周りのアプローチにも適しています。モダンなデザインの墓石にも、素朴な雰囲気の和型墓石にも使用できますが、吸水率が7%と高いため、比較的早い段階で自然と一体化した、苔のむす味のある墓になります。
埋蔵量は数千万トン以上と言われるほど豊富なため、今後も長く安心して使用できる資源です。小峰城(白河城)の石垣、大信村ふるさと伝承館の石壁、白河市大信中山義秀記念文学館の正面玄関入り口、平塚市大原 総合公園 、平塚市平塚の平塚の碑などに白河石が使用されており、耐久性や風合いを確認することができます。那須芦野石の美術館〜STONE PLAZA〜は、芦野石を活用してつくられた、世界的にも評価の高い建造物ですが、このSTONE PLAZAの中に、白河石で造られた石の茶室があります。