従来の葬儀とは全く異なる新しい視点で開発された、冷凍葬が注目を集めています。これはスウェーデンの企業が開発した技術で、遺体を火葬にしないで、超低温で冷却し、粉末状にして地下に埋葬して、土に返すというものです。冷凍葬というと、遺体を冷凍保存するのかと誤解する向きもあるかもしれませんが、冷凍保存とは全く次元の異なる手法です。
そのやり方というのは、遺体を死後一週間以内に−18度で凍らせ、この遺体をとうもろこしなどのでんぷん質原料で作られた棺におさめて−196度の液体窒素液に1時間ほど浸します。人の細胞は、この急速冷凍で、もろくなり崩れやすくなるので、棺ごと、機械で振動させると、すぐ粉末になるといいます。これはインスタントコーヒーなどを作る手法と全く同じだということです。これを歯などについていた金属類を取り除き、乾燥機にかけて水分を完全に飛ばせば完成です。こうしてできた粉末は25キロから30キロぐらいなるので、これをでんぷん質で作った別の棺(あるいはツボ)に入れて、地中約50センチ程度の深さに掘った穴に埋めます。こうすることで粉末化した遺体は、半年か1年ほどででんぷん質の棺ごと堆肥化するそうです。
スウェーデンでは既に実用化されているそうです。
さて、これを日本に持ち込んだ場合、受け入れられるかどうかという問題があります。まずそういう施設を作るところから始めなければなりません。火葬とは全く違う手法で行われる遺体の粉末化と宗教儀式がどう結びつくのかという問題もあります。通夜は従来通り行われるとしても、その間、遺体の冷凍保存をどうするか、納骨とか、墓地といったことも革命的に変わってきます。これを宗教界が受け入れてくれるかどかというのも大きな問題です。こうした問題点を取り除けば、冷凍葬はものすごい可能性を秘めています。使って海中へ流します。その際、弔砲や弔銃がなされ、式中は追悼の意をあらわして軍艦旗などは半旗にされます。
まず火葬ではないので、エネルギーの節約になります。粉末化した遺体(遺粉というべきか)は無臭です。遺粉は、でんぷん質で作られた棺と一緒に地中に埋めれば半年か1年ほどで堆肥化するというのですから、公害を起こす心配もありません。地中に埋めた段階で永遠のお別れと割り切ることができれば、墓地とか永代供養墓とかいった問題もなくなります。これは全く新しい葬儀の考え方で、冷凍葬という表現自体が間違いなのかもしれません。いっそのことドライに「葬」という文字にこだわらず、新しいネーミングを考える必要があるかもしれません。
日本ではまだ、冷凍葬に対する法的な整備も出来ていないので、これが普及するまでにはまだ時間がかかるかもしれませんが、火葬ほど時間もかからず、経費的にも安く上がるとなれば関心の度合いは一気に盛り上がるでしょう。スウェーデンでは、宗教的費用は別として、純粋な処理費用は3万円ほどだということです。葬儀が簡素化に向けて非常な勢いで進んでいる中、宗教的行事だけではなく、こうした技術革新も、今後は大きな話題になることでしょう。
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