ご先祖様を供養するために、お墓を建てることを決意した場合、あなたならまず最初に何をしますか?
多くの方は、まず墓地となる霊園を探し「ここにお墓を立てたい!」と思って、墓地を購入し、お墓を建てるという流れを想像されるでしょう。
しかし、霊園に話を持ちかけたところ、お墓を作れるのはこの石材店だけですと指定されることが多いのです。これはなぜでしょうか?
その答えは「指定石材店制度」という墓地販売のためのシステムがあるからなのです。
それではこの制度についてご説明した後、石材店を自ら選んでお墓を作るためにはどうするべきか、石材店をどのように選ぶべきかについてご紹介していきます。
指定石材店制度とは、気に入った霊園で墓所を購入してお墓を建てる場合に、その霊園が指定するいくつかの石材店から業者を選ばなくてはいけないという制度のことです。
つまり、自分が建ててもらいたいお墓のデザインがあった場合でも、その霊園が指定する石材店が取り合ってくれなかった場合は、叶えてもらえないということなのです。
そして多くの民営霊園や寺院がこの制度を取り入れています。
しかし、なぜこうした制度があるのかご説明いたします。
お墓があるのは主に霊園や寺院です。霊園・寺院とはいえ、経営を持続していくためには、営業で利益を得ていくことは大切です。
しかし、こうした施設は営利目的として墓石の販売業務などを行うことができないのです。墓地だけを売るだけでは、経営が立ち行かなくなるのは目に見えているところ。
そこで、石材店による墓石販売に、墓地に入りたい人の募集を委託することを制度として認め、ある程度の利益確保を見込めるようにしたのが、指定石材店制度です。
業者間での損得を公平にするために、指定石材店制度はとても良い制度なのかもしれません。
しかし消費者にとっては、作ってほしいデザインの墓石などが石材店になかったり、担当者とソリが合わずもめてしまったりなど、心配がいっぱいです。
もちろん料金についても、選べる石材店が限られていたら、予算をオーバーしてしまうなんてことだって考えられます。
この制度は、霊園一つに対して石材店がいくつか割り当てられているということです。なぜ、このような形になっているのでしょうか。
それは、担当石材店が決まっているので、霊園側がお墓のアフターケアなどを依頼されたりするときに連絡が取りやすく、無駄な費用を抑えられるということが考えられます。
霊園は公益のものであり、お客様からの管理料で運営されているものなので、安定的に継続させるためにも費用を抑えることはとても重要なのです。
指定石材店制度があり、霊園を選ぶと石材店が選べないということがわかりました。
ということは、霊園からではなく、お墓を立ててもらう石材店を選ぶ方を先にするといいということではないでしょうか。
それではいい石材店を選ぶためのコツをご紹介します。
これは当たり前のことですよね。店舗はもちろん、工事現場がきちんと整理整頓され、綺麗に片付いているだけで好印象です。
そして、そういうお店は、店員の方の接客応対もしっかりとしていることが多いはずです。
依頼者側の気持ちをしっかりと考え、応対してくれるかどうかでそのお店の質がわかります。
「材質やデザイン、サイズが違う」といったクレームが出てくることもありますが、これもお店の人の応対次第。
きちんとした態度で、丁寧に接してくれている場合、こうした問題が起きるはずがありませんよね。
お墓を購入することは、人生の中でそうそうあることではなく、大きな買い物の一つです。
一般の人でそこまでお墓に対する知識が深い人はいないでしょう。となると、石材店の店員がしっかりと知識を持っていることは重要なポイントです。
中でも、石についてと、宗教・仏事についての知識は持っていてほしいところです!
お墓は半永久的に持続させていくものです。そして、その材質は石です。でもどんな石が長持ちするのか、石がどんな性質を持っているかなどをよく知っている人はあまり多くないでしょう。
店舗の店員はやはりプロとして、石についての知識をしっかりと蓄えていてほしいものです。
どんな石を加工すれば、どんな風に仕上がるのかをしっかりと理解しておくだけでも、顧客の要求に確かに答えていくことができるはずです。
ただ、「この石がオススメ」と強く推してくるような店員より、あなたの意見にしっかりと耳を傾けた上で、石を提案してくれるような店員がいるお店なら、とても安心ですよね。
お墓は、それぞれのお家の宗教の宗派などが大きく影響するものです。
宗教上で墓石のデザインが決められていることもあり、石材店の店員はお客様の宗派に合わせた提案をしていく必要があります。
知識がなく、墓石の製作を進め、後で間違っていたことに気づくようなトラブルが起きないよう、店員が宗教や仏事をよく理解しているのかを見極めることがとても大切です。
前述した通り、お墓はとても大きな買い物です。ですので、契約書や保証書をしっかりと取り交わしてくれる石材店こそが良心的と言えます。
契約書には金額はもちろん、石の種類や仕様、納期、支払いの条件なども明記されているかをきちんと確認しましょう。
石の産地を記した「石材産地証明書」や施工の保証書なども重要となります。
当たり前のことですが、これらの書類をきちんと交わしてもらえるのかを事前に必ず確認しましょう。口約束なんて、もってのほかです!!
いくら石や建て方にこだわり、丁寧に墓石を作ったとしても、お墓は年月が経つにつれて傷んできます。
石の傷みのほか、セメントの劣化、地盤沈下などの可能性もあります。また、新たに戒名を刻むことも考えられます。
そうしたアフターフォローをきちんとしてくれるかどうかも、石材店を選ぶときの重要なポイントになります。
普段から、お墓の周りをチェックして、枯れたお花を捨ててくるなどの手入れをしてくれているかなどを見極め、石材店を選ぶときの参考にしてください。
気をつけていても、やはり悪質な石材店は存在するものです。
お墓づくりで失敗や後悔をしないために、石材店の行為から、注意点を洗い出して行きましょう。
提案に対しての即決を要求してきたり、泣き落としをしてきたりなどの態度が見られる石材店とは、付き合いを考える方が良さそうです。
顧客に考える隙を与えなかったり、痛いところを突いてきたりなど、品のない行為が少しでも見られる業者は、きっとその他でも常識はずれなことをしてくるはず。
こちらの意見を聞き入れないような態度を取る場合は、取引を丁寧に断ることをオススメします。
他店の悪口を言ったり、他店の見積り金額で提示価格を変えてくるなど、他店を意識しすぎた行為はプライドがなく品格が感じられません。
他店に対抗しすぎて、店としてのポリシーがないのは考えものです。
そうしたお店とは取引をしない方が良さそうです。
墓石が驚くほどの安さであったり、突然大幅値引きをしたりするなどのお店も要注意です。
あまりに安いものは石の質や耐久性も気になるところです。
やはりある程度のお値段がないと、すぐに傷んでしまったりして、結局は損をしてしまうものです。
安いに越したことはないですが、安すぎるのは危険だと覚えておきましょう。