お墓を建てる際、まず墓地を選ぶところから始めます。
墓地はその場所や広さ、さらには宗旨や宗派など、明らかな差がある部分は比較検討することができるためスムーズに進めることができるでしょう。
しかし、その次の段階となる墓石作りとなると、何を基準にして選べばいいのか判断に迷うことが多くなります。
墓石作りは墓地の区画販売業者やお寺ではなく、石材店に依頼することになります。
しかし、その石材店の選び方がわからないといった方が多くいらっしゃいます。
そこで、今回は石材店を選ぶ上での注意点について述べていきます。
注意すべきポイントは
この5つです。
墓石は作って建てればそれで終わりではありません。
長きにわたって使い続けるものです。
家を建てた場合も、長く住んでいるとさまざまな不具合が起こってくるため、その都度補修やリフォームを行なうことになります。
墓石も同様に、補修やアフターケアの必要性が起こってきます。
雨風にさらされるため、汚れが付着することはもちろん、目地の劣化、地震や台風等の自然災害による破損、さらにはお名前を追加彫刻することがあるかもしれません。
汚れを掃除する程度であれば、ご自身でできるかと思われますが、破損した場合の補修や追加彫刻となると、石材店に依頼する必要があります。
それらがスムーズになされるかどうかが、石材店選びの重要なポイントとなります。
ほとんどの石材店では、墓石を建てた後の保証期間を設けています。
ただその「保証」がどこまでの内容となっているかは、あらかじめ確認しておく必要があります。
例えば「施工時に起こった初期不良のみを保証」といった、最低限の保証のみの石材店もあれば、墓地の定期的な清掃なども含めた手厚く幅広いアフターケアをして下さる石材店もあります。
ただ、石材店によっては、保証やアフターケアの内容を口頭で簡単に説明するだけで、実際には行わないケースがあります。
墓石を売りたいがために、無責任なリップサービスを並べて、契約をさせ、建てた後は知らん顔と言ったところですね。
後々にそのようなトラブルが起こらないように、アフターケアの内容については契約書に記載してもらうなど、書面に残してもらうことが必要です。
墓石は長く使うものであり、アフターケアが必要になります。
そのアフターケアは、墓石を作り、建てた石材店が担当するものです。
なぜなら、その墓石のことは、作った石材店が最もよく理解しているためです。
ただ、最近は「墓石は作るが施工は別の業者が行なう」、「墓石のデザインや企画は自社で行なうが、墓石作りや施工は別の業者が行なう」といった石材店も多くなっています。
自社で職人を抱えるよりも外注したほうが人件費を安く抑えられるため、その分墓石を安く販売することができます。
購入する側からすれば、墓石を安く施工できるメリットがありますが、長い目で見れば、金額が少々高いものになっても、自社で施工する石材店のほうが安心感の大きさが違います。
可能であれば、自社で墓石を作り、建立している石材店を選びましょう。
しかし、墓石はけっして安いものではありません。
確かに長きにわたって使い続けるものですが、誰もが「金に糸目はつけない」「大事な物なのでお金はいくらかかってもいい」と無尽蔵に費用を用意できるわけではありません。
高額であるため、ローンを組むこともできますが、月々の支払いが困難にならないように、無理のない範囲での予算を考える必要もあります。
それだけに、何社かの石材店から見積りをとり、安い会社を選ぶケースも多くあります。
安い見積りを提示する会社には、施工は自社で行わず、外注に回しているところも多くあります。
外注することで人件費を抑え、販売価格を安くしているわけです。
自社施工が最善であることに間違いはありませんが、安さを最優先して選ぶなら、あらかじめ施工後の責任の所在を明らかにしてもらいましょう。
施工後にトラブルが起こった場合、墓石に問題があったのか、施工時の問題があったのかがあやふやで、補修の費用負担をどこがするのか責任の所在がわからず、結局購入者が補修費用を全額払うことになる例もあります。
その点を契約前に確認し、契約書に明記してもらうなどの措置をとっておくことが必要です。
石材店にも業界団体があります。
その中でも、全国規模の団体である一般社団法人日本石材産業協会や、一般社団法人全国優良石材店の会などは著名な団体であり、信頼のおける運営を続けています。
また、地方規模で地元の石材店が集まり、運営されている団体もあります。
これらの団体に加盟するには、何らかの入会審査があることがほとんどです。
審査の基準はまちまちですが、何らかの問題を抱えている会社が加盟を認められることは、まずありえないと考えてよいでしょう。
もちろん、加盟しているから絶対に大丈夫だと言い切ることはできませんが、判断する大きなポイントとして考えてよいでしょう。
墓石は1種類だけではありません。
大きさやデザイン、素材、色など多岐にわたります。
初めて墓石を作る場合、どのような墓石を作りたいのか漠然としたイメージはあっても、具体的に説明できないことがほとんどでしょう。
そこで、実際に見本となる墓石を見せてくれる石材店が望ましいですね。
石材店のショールームなどで、多数の種類の墓石を見ることで、漠然としたイメージを具体化し、担当者と相談しながら作成プランを組み立てることができるからです。
大手の石材店はもちろん、地域密着型の小さな石材店であっても、見本となる墓石を展示しているスペースを持っていることがほとんどです。
特に墓石の大きさなどは、イメージしていたものと実物とでは大きなギャップがあることも多いのです。
実物を見れば、大きさやデザインなど、どのような墓石を作りたいのかを具体的にイメージしやすいはずです。
墓石を作ることは一生のうちに何度もあるものではありません。
それだけに、墓石作りについて何の知識もお持ちではない方がほとんどでしょう。
その「何も知らないお客さん」に対して、親身になって話を聞き、予算に応じた最善のプランを考えて下さる石材店を選ぶべきです。
まず、墓石を作るにあたっての希望をできるだけ多く提示しましょう。
その上で「この希望条件であれば費用はどれくらいになるのか」を確認します。
中には、契約を急がせる石材店があります。
「今ならキャンペーン価格で作ることができます」「時期がずれると職人の手配が難しくなるので完工までに時間がかかってしまいますよ」などと、理由をつけてすぐに契約をするように進められることがあります。
それは事実であるかもしれませんが、契約を急がせる石材店は避けたほうがよいです。
墓石作りは一生に一度となるような大事なものであり、費用も高額です。
それだけに、じっくりと費用面も含めたプランを考え、検討する時間を長くとるべきです。
また、何社かの石材店に話を聞き、見積もりの金額や対応、アフターケアの内容、その他幅広い点を考慮した上で、最終決定をすべきです。
そのため、購入を考えてから、契約をするまでには時間をかけることが必要となります。
その時間を作ってくれない石材店は、信頼性に欠けると判断していいかもしれません。