水葬とは、遺体や又は火葬した後の遺灰や遺骨を海や川、湖などに葬る事です。日本の法律では現在、航行中の船舶内で死亡した場合などの特別な例をのぞいて、原則的に法律で禁じられています。日本以外では、インドのヒンズー教徒の場合や、航海中の死者や、戦争や軍事行動による犠牲者の遺体を母国へ運ぶのが難しい場合に航行中の船舶から海へ葬る事が場合があります。
アメリカでは水葬が許可されているので、水深600メートル以上の海上であったり、浮き上がってこないように配慮するなど、いろいろな条件を満たせば、誰でも水葬が可能です。
ヒンズー教徒の場合は、遺体を一旦火葬場で火葬し、その後、お骨を火葬場におよそ2週間ほど安置してからお葬式を行い、僧侶と共にお骨をガンジス川に運んでそっと流します。軍隊などの航海中の船舶から遺体を海に葬る場合、棺を国旗で覆い、葬送の儀式と共にスロープなどを使って海中へ流します。その際、弔砲や弔銃がなされ、式中は追悼の意をあらわして軍艦旗などは半旗にされます。
日本で例外的に水葬にされる場合は、航海中の船で死亡した後24時間以上経過していて、衛生上船内に遺体を保管できない場合などで、医師が同船していれば死亡診断書を作成して、遺髪や遺品を保管し、本人の写真撮影をしておく事などの諸条件を満たした上で、浮き上がらないようにして、きちんとした儀礼をもって行うこと等の法律で定められた条件が満たされた場合のみ行われます。
2011年には、イスラム過激派の首謀者ウサマ・ビン・ラディン容疑者がパキスタンで米軍部隊に殺害された後、原子力空母「カール・ビンソン」で水葬にされました。白い布に包まれた遺体の前で、祈りが唱えられ、それを通訳がアラビア語にしました。それから重りを付けた袋に入れられた遺体は海へ流されました。これにはビン・ラディン容疑者の墓がイスラム過激派の聖地になることをおそれたとの見方もあります。
また2012年には、人類初の月面着陸に成功した米国の元宇宙飛行士ニール・アームストロング氏の遺灰が、本人の遺志に基づいて大西洋上でアメリカ海軍の軍艦から水葬されました。
日本では古く、万葉時代には水葬は一般的で、万葉集にも水葬された棺が流れていく様子を綴った記述がのこっていますし、和歌山県では亡くなった方をコモに包み、『今度は鯛になっていらっしゃい』と言いながら海へ流したという記録があります。これは鯛が神様のお供物となることから、神様のところへ行かれるようにとの願いを込めた言葉でした。
また16世紀に、木曽義昌が、九十九里浜の椿の海に水葬されたとされています。椿の海は現在干拓され、そばに歴史公園が造られています。琵琶湖には武田信玄が水葬されたという伝説があり、実際に『甲陽軍艦』という軍書には、信玄が同様の遺言を残したとの記述もあり、琵琶湖の底に石棺状の物体が確認されていますが、未だ、真偽は不明のままです。
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