墓石はすべて同じ価格ではありません。
墓地の場合であれば、立地や区画の広さなどによって価格が大きく変わります。
墓石の場合は使う石の種類、大きさ、その他、さまざまな要素によって、価格が大きく変動します。
その墓石には、価格の相場があるのでしょうか。
石材店にお勤めの方などを除けば、墓石の価格がどれくらいのものなのか把握されている方はまずいないでしょう。
何度も墓石を購入した経験があるといった方も、まずいらっしゃらないはずです。
ほとんどの方は、墓石を購入するのは初めてで、価格を含めて墓石に関する知識はほとんどないでしょう。
その墓石の価格と相場について考えてみます。
「墓石代」とは、墓石そのものだけの価格ではありません。
まず石材一式とよばれる基本的な部分(棹石、外柵、納骨棺(カロート)、花立て、香炉他)と、基本内容の彫刻料(家名、題目、建立日、建立者など)、墓地区画への据え付け工事代金、さらには香皿や花立など金物の付属品代金を含めた総額をいいます。
墓地の区画を購入する費用やお墓ができてからの永代供養料などは、墓石の価格には含まれません。
それらはすべて別の費用となります。
墓石の費用は、墓石を作り、施工する石材店に支払うことが一般的です。
墓石は作る際のさまざまな要件によって価格が大きく変わるため、相場といったものを提示することが難しくなっています。
ただ、しいて言うならば、おおよその相場金額は70万円から300万円程度といわれています。
幅が大きくなっていますが、これはさまざまな要件によってかかる金額が変わってくるためです。
これまでに墓石を購入された方の平均価格は、およそ150万円になっているようです。
石材 | 広さ | デザイン | 価格 |
---|---|---|---|
中国産の北大青 | 2平米 | 石材店の定型洋型 | 50万円 |
日本産の青御影石 | 1坪(90cm四方) | 標準の和型 | 75万円 |
中国産のマホガ二 | 2平米 | 洋型 石材店にデザインを任せる | 90万円 |
佐賀県産の天山石 | 1坪(90cm四方) | 和型で石材店にお任せ 施工もその石材店に依頼 | 155万円 |
香川県産の庵治石 | 1坪(90cm四方) | 購入者希望の独創的デザイン | 220万円 |
墓石を作ることは、注文住宅で家を建てることと似ています。
家を新築で建てる場合、その相場といったものは存在しないことはおわかりだと思います。
建売住宅とは違い、ひとつとして同じ家がないからです。
家を建てる材料は鉄骨、鉄筋、あるいは木造なのか、建てる土地の広さ、間取りをどうするか、さらに内装や外装などに高級な素材を使ったり、凝ったデザインを使うなどすれば、その価格は大きく変動します。
その価格帯の幅は限りなく大きくなります。
墓石を作ることもまた同じです。
さまざまな要件によって、価格は大きく変わるため、狭い幅での相場というものが存在しないのです。
墓石はすべてが同じものではありません。同じ石材店で購入する場合も、選ぶ墓石によって価格が大きく変わります。
またそれ以外の要件によっても価格が大きく変わってきます。
その価格の差ですが、以下のような要件によって変動します。
墓石に使う石の種類によって、価格が大きく変わります。
まず、国産の石と外国の石とでは大きな価格差があります。
外国の石よりも、国産の石の方が高い傾向にあります。
また、国産の石においても、産地や石の種別によって価格がまちまちになります。
国産の石の中でも「ブランド品」と称される有名な産地の石は高級品として珍重され、価格も高くなります。
墓地の区画が広く、大きな墓石を建てる場合などは、使う石の量が多くなるため、価格も高額になります。
また、石を墓石として加工する工程も長く、作業の期間も長くなるため、工賃も高額になります。
石材店で定番として販売されている墓石を使う場合と、自分の好みのデザインを指定して、オーダーメイドで作ってもらう場合では、価格が大きく違ってきます。
オーダーメイドの場合は、デザイン料や設計にかかる費用も加算されるため、高額になることは間違いないでしょう。
さらに、細部にわたって細やかな装飾を施すなど、特別な加工を希望するとなれば、価格はさらに高くなります。
これは、加工に時間がかかることにより、作業工程が長くなるため、人件費がかさむことによるものです。
墓石には通常、家名と家紋を彫刻します。
そこまでは基本の価格に含まれています。
しかし、それ以外に購入される方の希望によって、彫刻を増やす場合は価格が高くなります。
特にイラストの彫刻や、立体的な彫刻を施す場合は高額な別料金がかかることになります。
墓石を購入するにあたっては、まず、石材店と十分に相談をするべきです。
墓石を購入する機会は生涯のうち何度もあるものではないはずです。
家を購入することと同じ感覚でお考えになればいいでしょう。
それだけに石材店に行って、展示場やショールームで目についた墓石を選び「これにします」と簡単に決めるのではなく、細かい部分まで相談をしたうえで、最終的な決定をするべきでしょう。
石材店の側も、墓石の購入は時間をかけて相談と打ち合わせを繰り返した後に決めることが常識であるのだと考えていますので、遠慮なく何度も相談をすればいいのです。
まず、基本的な金額を確認しましょう。
最も安く作る場合はどのくらいの価格になるのかを確認します。
いちばん安い石を使い、デザインや彫刻等は規定のもののみとして、基本となる最低価格を提示してもらいます。
それをもとにして、このような墓石にしたいという希望があれば、そのまま提示しましょう。
可能なのかどうか、そして、どれくらいの費用がかかるのかは、石材店が判断してくれます。
そのうえで、すべての希望を採用してもらった場合、墓石の価格はいくらになるのか見積りを出してもらいましょう。
用意できる予算をオーバーしているとなれば、希望している要件の中で優先順位の低いものから削除する形で金額を下げていきます。
そのようにして、予算内に収まるまで妥協できる部分を削っていきます。
墓石は、お金をかければかけるほど立派なものになることは間違いありません。
高級な石材を使い、オーダーメイドで凝りに凝ったデザインを施し、周囲の他の墓石と比べればひときわ目立つものを作ることも可能です。
特に墓石は何代にもわたって長く使い続けるものであるため、できるだけ立派で、後世に残せるものをとお考えになる方も多いことでしょう。
しかしお金をかけて立派な墓石を作ったからと言って、それがそのままご先祖様の供養につながるわけではありません。
最も大切なのは、ご先祖様を敬い、供養する気持ちです。
もちろん、高いお金をかけて墓石を作ったことで、頻繁に墓参に足を運ぶことになるかしれません。
安く作った墓石だからといって卑下する必要はありませんし、心を込めた供養をすれば、それでいいのではないでしょうか。
大切なのは墓石の価格ではなく、供養の気持ちです。
ご先祖様が質素な生活を好み、贅沢を嫌う方であったとすれば、豪華で派手な墓石は居心地が悪いと感じられているかもしれません。
基本は供養する気持ちに尽きるでしょう。